暮らしの中のテーブル

家の中の家具で、そこでの暮らしを象徴するものは何かと言えば、それはテーブルなのではないかと考えている。テーブルはおそらく多くの家で、現実として生活の中心的機能を担っているだろう。それは家族が集い、そこで日々の食事をし、新聞や本を読んだり、一杯のお茶でくつろいだりする場所であり、子どもたちが勉強をする場でもある。

テーブルの役割を整理して考えると以下の3つに集約されると思う。まず、一つは「食卓としての団欒」である。「ダイニングテーブル」というくらいだから、現代の生活様式において食事の場であることは一義だろう。家族揃っての食事で、和やかな団欒の時を過ごすテーブルの存在感は大きい。そして、子どもたちの勉強、あるいは大人のワークスペースとしてのあり方。母親が家事をしている横で宿題をしたり、テレビを観たり、大人たちはちょっとした書き物やPCワークをこなしたり、デスク代わりに使うことができて便利だ。さらに手芸や工作など広いスペースが必要な場合の作業台にもなる。考えてみれば、1日のうちでテーブルについている時間が意外に長いという人は案外たくさんいるだろう。部屋がいくつあっても、結局そこが自分の居場所であるとともに、ファミリーのコミュニケーションスペースであったりもする。それくらいテーブルというのは多機能で、家族を結びつけ、様々なことを行えるもので、実に優れた家具ということができるだろう。

さて、家を建ててテーブルを新調する時、部屋の広さや家族の人数を考慮するのが一般的だと思うが、あえて私が提案したいのは「大きなテーブルを選ぶこと」だ。 大きなテーブルを暮らしの中心に据えることで、家族の結びつきは自然と強まり、日常の光景は穏やかになるように感じる。たとえ小さい空間でも少し大きめなテーブルを据えれば、そこは家のランドマーク的な場所になる。そこでなされる様々なことが家族にとって必要かつ好ましい風景を作り出すのではないだろうか。 家は家族を育む場所。そして、テーブルはそのための立役者。だから、そのサイズは大きめに。そんな風に思っている。